1.

論文

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櫛引, 素夫 ; 北原, 啓司
出版情報: 弘前大学大学院地域社会研究科年報.  pp.79-95,  2006-01-25.  弘前大学大学院地域社会研究科
URL: http://hdl.handle.net/10129/1145
概要: 東北新幹線盛岡-八戸間は2002年12月に開業を迎え、新幹線が青森県に到達した。同区間の利用者は在来線当時に比べて51%増加し、首都圏から青森県内への入り込み客数も大幅に増えて、新幹線開業は経済面で地元に恩恵をもたらしている。しかし、新幹線 の経済的効果が及ぶ地域や業種はまだ限定的である上、JR東日本から経営分離された並行在来線の沿線では、運賃の上昇などによって新幹線と並行在来線双方の利用者が伸び悩んだ。高校進学予定者の進路が狭められる不利益も発生している。さらに、新幹線建設費の一部を地元県が負担する建設スキームは、青森県財政の最大の圧迫要因となっている。これらの大きな原因として、整備新幹線構想自体が持つ問題点と、地元側の開業準備態勢の問題が考えられる。2010年度の東北新幹線全通・新青森開業、2015年度の北海道新幹線新函館開業を控え、新幹線によるメリットを最大化し、デメリットを最小化するための対策はますます重要になっている。地域振興のために効果的な対策を講じるには、沿線の鉄道利用実態や新幹線がもたらすとみられる利害を早急に調査するとともに、行政や経済界、NPOなどによる議論や調整の場を設けるべきである。 続きを見る
2.

論文

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丸山, 浩治
出版情報: 弘前大学大学院地域社会研究科年報.  pp.7-27,  2011-12-28.  弘前大学大学院地域社会研究科
URL: http://hdl.handle.net/10129/4522
概要: 竪穴建物の堆積土中に含まれるテフラの堆積層位・状況(以降「堆積様相」と表現)を分析することで遺構の構築・廃棄時期を特定し、これを基に集落研究を行う方法を論ずる。対象とするテフラは平安時代中期に噴出した十和田aテフラ(To-a)および白頭山― 苫小牧テフラ(B-Tm)で、対象地域は両テフラの降灰域にあたる東北地方北部(青森県・岩手県・秋田県)とする。分析対象資料は、発掘調査が実施されTo-aもしくはB-Tmの堆積が確認された遺跡・遺構である。なお、遺構は発掘調査後破壊され現存しないため、調査記録である発掘調査報告書の記載データが検討対象となる。テフラ堆積様相の分析にあたっては、遺構の構築もしくは廃棄時期の推定が可能な22種の分類を提示し、6時期に区分した。今回は、これを基に2009年度までに刊行された青森県内遺跡の発掘調査報告書所収遺構に対し分析作業を実施し、148遺跡・1555棟でTo-aもしくはB-Tmの堆積が確認され、うち131遺跡・887棟が上記分類のいずれかに合致し時期推定が可能であった。この結果から各遺跡の消長を推定するとともに、地域的な集落の増減を時期区分毎に検討したところ、南部地方における様相として、To-a噴火後に奥入瀬川流域で急減し三本木原周辺~小川原湖湖沼群南部および野辺地湾周辺~小川原湖湖沼群北部で急増すること、B-Tm噴火後に小川原湖湖沼群南部で急減し、野辺地湾周辺~小川原湖湖沼群北部で増加することが判明した。一方、津軽地方では、To-a降下量が比較的多い青森平野周辺でも噴火前後の増減が見られないことが確認された。本研究は、To-a・B-Tm両テフラ噴火イベントに対する当該地域社会・住民の動向を具体的に示した初例である。 続きを見る