1.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.161-168,  2001-03-30.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/435
概要: 本研究の目的は,漢字の読字と書字に困難を抱える学習障害の-症例に対して文字(図形)一読み学習を対連合学習の手法で課し,その学習の特徴を分析することであった。また,刺激項の文字数,複雑さ,形態の対称性,提示時間,反応項の語音数,意味性などの学 習におよぼす効果について検討を加えた。結果は,1)本症例の文字(図形)一読み対連合学習の速度は,健常成人と大きな差を示さない,2)刺激項の提示時間が100msecの場合,学習速度が顕著に低下する,3)提示時間以外の刺激項・反応項の変数による効果は見られない,ことを示した。本症例にみられる対連合学習における文字(図形)一読み学習の成績と,通常の漢字読みに見られる困難さの敵酷について学習メカニズムの側面から議論した。 続きを見る
2.

論文

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松本, 敏治 ; 安藤, 房治 ; 飯田, かおり
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.187-196,  2002-03-28.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/436
概要: 弘前市「つがるLDを考える会」および青森市LD親の会「こんぺいとう」の保護者に対して,1.子どもの実体,2.現状,3.教育的ニーズ,4.家族関係を明らかにすることを目的にアンケートを実施した。結果は,1)子どもの約4分の1のみがLD/ADH Dとの医学的診断をうけているにすぎない,2)ADHDの医学的診断と教育的判定の間に大きな乗離が見られる,3)多くの子どもが,集中力および対人関係上の問題を抱える,4)保護者の6割が,担任は子どもの問題を理解しているととらえているが,そのうち特別の配慮がなされているとしたものは6割である,5)子どもの対人関係は,非常に狭い範囲に限られている,6)学校への要望としては,教員の理解を求めるものがもっとも多い, 7)保護者は,子どもにとって適切な環境として"通常学級での特別な支援''を考えている,8)地域に不足している支援機関として"LD/ADHDの教育相談機関""LD/ADHDの医療機関"が挙げられた,9)家族の中にも子どもの状態を正確に把握し得ていないものがいるとの回答が約半数で見られた,ことを示した。 続きを見る
3.

論文

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松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.73-80,  2005-10-07.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/437
概要: 小学校入学後に顕著な読み書き障害を示した二事例に対して,50音表の活用と単語と呼称の対連合学習を用いた指導を行い,指導期間中の絵・単語シートの読み時間の変化および指導前・指導後の文字・有意味語・無意味語・イラストのリストの読み速度の変化を調 査した。一事例では,指導とともに単語読み速度が上昇し,絵の呼称速度を上回るようになり,一文字・有意味語・無意味語・イラストともに読み速度が上昇した。しかし,他の事例では,単語の読み速度は上昇したものの,絵の呼称速度と同程度にとどまり,文字・単語・イラストリストの読みは指導前後で変化しなかった。単語の読みは,しばらく見つめた後一気に呼称するなど,logographicな学習を行っている様子が伺えた。以上のことについて二事例が示した他の心理検査の結果をもとに認知特性との関係で考察した。 続きを見る
4.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.125-135,  2008-03-25.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/289
概要: 本研究は、読み書きの困難を主訴として教育相談に来談した事例の小学2年生から中学1年生までの読み書き学習の推移と認知能力についての報告である。本症例に対して次のような側面から情報収集をおこなった。1)教育評価:学習障害スクリーニング検査、読み 書き障害関連質問紙、読み書き検査、学校でのテスト結果等、2)知的能力:知能検査、3)視覚処理:視機能検査、複雑図形記銘検査等、4)音韻処理:音韻処理、モーラ抽出等、5)保護者の面談記録。以上の結果から、本症例の示した学習上の問題の推移をその認知特徴との関係で検討した。 続きを見る
5.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.121-128,  2009-03-30.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/1822
概要: 読み書き障害調査に参加した児童(主に発達障害)を対象に、1)STRAW の読み成績と音読速度、RAN、音韻分析、視覚認知処理の関係、2)ディスレクシア特徴該当数と音読速度、RAN、音韻分析、視覚認知処理の関係を検討した。結果は、読み成績で2 群に分類した時、音読速度、RAN、音韻分析で有意な差が見られた。ディスレクシア特徴該当数と音読速度・音韻分析の間に関連がみられた。また、小学校高学年では、ディスレクシア特徴該当数と無意味語読み時間との間に関連がみられた。これらの結果をもとに、読みと音韻処理・視覚認知能力との関係を議論した。 続きを見る
6.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.81-86,  2011-03-23.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/4452
概要:  ディスレクシアの原因として音韻処理能力の障害とする説があり、音韻処理能力の障害を検出する方法としては無意味語の読みが重要な手がかりであるとの指摘がある。本研究では、小学校1年生から高校生までの発達障害児160名に対して、一文字・有意味語・ 無意味語・イラストの速読および呼称課題を行い、その読み時間を計測した。結果は次のようであった。1)同じ3モーラ単語であっても、無意味語の読み時間は有意味語に比べて顕著に延長した。2)学年にともなう短縮率で見ると、一文字・有意味語・イラストは、ほぼ同じ変化を示すのに対して、無意味語のみ異なる傾向を示した。3)160名中、8名で有意味語と無意味語の読み時間成績に大きな齟齬が見られた。4名は、有意味語で顕著な遅れを示しながら無意味語では問題を示さず、他の4名は無意味語で顕著な遅れを示しながら、有意味語には問題が見られなかった。 続きを見る
7.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.107-114,  2012-10-31.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/5060
概要: 本研究では、発達障害児を対象に無意味語読みと音韻操作課題そして文章読みの流暢性の関係について調査をおこなった。8歳から18歳までの42名の発達障害児が本調査に参加した。結果は次の通りであった。1)無意味語読みの時間は、3モーラからなる単語( 例:うさぎ)から第2モーラを削除するという音韻操作課題の所要時間と強い相関が見られた。2)無意味語読みの時間は、同一の文章を二度読ませた際の第1回目の読み時間および第1回目と第2回目の時間差と相関を示した。3)さらに、ディスレクシアの特徴を幼児期に強く示した被験者では、無意味語読みにおいて遅れが見られた。これらの結果をもとに、日本語における無意味語読みの処理について音韻操作の側面から議論を行った。 続きを見る
8.

論文

論文
松本, 敏治 ; 崎原, 秀樹 ; 菊地, 一文
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.49-55,  2013-03-27.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/5080
概要: 本論文では、松本・崎原(2011) によって報告された「ASD は方言を話さない」という調査結果について理論的検討を行った。彼らの特別支援教育関係者を対象としたアンケート調査は、ASD は定型発達児およびID に比べ、方言の音声的特徴のみな らず、語彙の使用も少ないとする結果を示した。この結果について次の5つの解釈の説明可能性を検討した。1)音韻・プロソディ障害説(表出性障害、受容性障害)、2)終助詞意味理解不全説、3)パラ言語理解不全説、4)メディア媒体学習説、5)方言の社会的機能説。1~4の解釈は、ASD でみられた方言の音声的特徴および方言語彙の不使用を十分に説明することができなかった。一方、方言の社会的機能説は、方言の社会的意味として他者との連携意識・集団への帰属意識などに着目したもので、ASD のもつ対人的・社会的障害の側面から方言の不使用を説明できるものであった。この説は、結果を適切に説明できるもので、かつASD の中核症状との関連が推察された。また、この説と関連して、ことばの社会的機能への気づきとASD への言語的はたらきかけについて考察した。 続きを見る
9.

論文

論文
松本, 敏治 ; 崎原, 秀樹 ; 菊地, 一文
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.93-104,  2015-03-27.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/5757
概要: 松本(2011, 2014)は、特別支援教育関係の教員に対してASD・ID およびTD の方言使用についての調査を行い、ASD において顕著に方言使用が少ないとする結果を得ている。松本・崎原・菊地(2013)は、方言の社会的機能説にもとづく 解釈仮説を提出し、ASD の方言不使用の原因を対人的・社会的障害に求めている。しかしながら、幼児ASD においても方言不使用がみられるとの報告があり、上記の仮説では、この現象を十分に説明出来なかった。そこで、ASD 幼児の方言不使用について、理論検討を行った。本論では、ASD とTD の“模倣”にみられる違いを端緒として、共同注意・意図読み等他者の心的状態についての理解が自然言語習得に及ぼす影響を議論するとともに、それらに困難を抱えるASD の言語習得のあり方を想定することで、ASD 幼児の方言不使用という現象を解釈しようと試みた。また、方言の社会的機能説による解釈についても心的状態の理解の側面から再検討した。 続きを見る
10.

論文

論文
松本, 敏治
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  115  pp.83-86,  2017-03-01.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/6196
概要:  「自閉症は方言を話さない」という印象が全国的な現象として存在することが特別支援学校の教員への調査から明らかにされている。また、乳幼児健診に関わる医療関係者からは、幼児期においても既に“育った地域のことばではなく共通語を話す”などとする報告 がある。しかし、幼児については、系統的組織的な調査は行われていなかった。本研究では、青森県津軽地域の保健師に対して、自閉スペクトラム症(ASD)、知的能力障害(ID)、注意欠如・多動症(ADHD) 幼児の方言の使用および乳幼児健診時点での定型発達の子どもや保護者の方言使用について質問紙調査を行った。結果は、幼児においてもASD の方言使用がID に比べ少ないとする印象が存在することが確かめられた。 続きを見る