1.

論文

論文
廣瀬, 伸一 ; 岡田, 元宏 ; 朱, 剛 ; 吉田, 淑子 ; 兼子, 直
出版情報: てんかん治療研究振興財団研究年報.  18  pp.49-54,  2007-06.  てんかん治療研究振興財団
URL: http://hdl.handle.net/10129/1755
概要: 常染色体優性夜間前頭葉てんかん(ADNFLE)の日本人家系から同定されたニコチン性アセチルコリン食容体のa.4サブユニット遺伝子に異常を持つ遺伝子組換えモデル動物ラット(S284LTg)の作出に成功した。S284LTgはヒトAl)NFLEと 同様に睡眠中に前頭葉を焦点とする自発けいれんを示し.その発作はヒトADNFLEに特徴的な発作に酷似していた。神経伝達物質と陣眠覚醒リズムの相関他を解析した結果.覚醒から陣眼への移行により減少するグルタミン酸やアセチルコ.)ンの遊離変化はS284L-Tgで認められなかったが.GABA遊離は非組換え体との有意な差は認めなかったO前頭葉スライスパッチクランプ解析では.S284LTgはグルタミン酸系には形響せず.GABA系伝達機能への克進効果が欠如していた。覚醒から睡眠への移行段階での相対的グルタミン酸伝達横能の尤進が.特徴的な睡眠F71発作の発現機序の一端をなすと考えられたo我々が作出したS284L-Tgは. ヒトADNFLEと相同する遺伝子変異を有し.酷似した表現型を示すことから.自発発作を有する世界初のヒトてんかんモデルラットと考えられた。 続きを見る
2.

論文

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兼子, 直
出版情報: てんかん治療研究振興財団研究年報.  4  pp.24-35,  1992.  てんかん治療研究振興財団
URL: http://hdl.handle.net/10129/1905
概要: てんかん治療の進歩により,多くのてんかん者が結婚し,挙児を望むようになった。そこで,妊娠可能てんかん女性の治療基準設定のため,抗てんかん薬(AED)の催奇形性,服薬中に授乳可能か否か,妊娠中におけるてんかん発作頻度変化などの問題を中心に前方 視的に検討し,以下の結果を得た。AEDの服薬が規則的であれば80%以上の症例で妊娠中にてんかん発作頻度は変化しない。AEDは胎盤を通過し,母乳中にも排推される。奇形はAED多剤併用投与により増加し,催奇形性の強いAED,あるいは危険なAED併用パターンの存在が明らかになった。パルビツール剤,ベンゾジアゼピン服用中には出産後1週間は授乳を避けたほうがよいが,それ以外のAED服薬は授乳を妨げない。AEDにより,胎児の発達は遅れるが,生後3年頃までに回復し,服薬てんかん妊婦の子供でも,育児に配慮することにより,身体精神の発達に大きな問題は残らないことが明らかとなった。 続きを見る
3.

論文

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兼子, 直 ; 近藤, 毅 ; 島田, 杉作 ; 大谷, 浩一 ; 平野, 敬之 ; 福島, 裕 ; 佐藤, 時治郎 ; 野村, 雪光 ; 品川, 信良 ; 寺西, 孝司 ; 後藤, 昌司
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  16  pp.325-334,  1985-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4200
概要: 服薬てんかん婦人の児に高頻度に認められる奇形発現の機序を解明すべく,1975年から1983年までprospectiveに十分な観察が可能であった児117例を対象に,奇形発現に関連が推定される各種要因を2重指数判別分析,カテゴリカル主成分分析 などを用い解析した. 妊娠第1期に服薬していた群の15.7%に,非服薬群の13.3%に奇形が認められ,対象例全体としての奇形発現率は15.4%であった.いわゆる大奇形は服薬群にのみ認められ,服薬群中の単剤治療例には奇形児出産はなく,多剤治療例の奇形発現率は18.0%であった. 要因間における関連性の解釈および各種解析結果から,奇形発現に重要な関連が考えられた要因は多剤併用,特にcarbamazepineとvalproic acidの併用,妊娠第1期における発作発来であったが,その他,部分発作(単純,複雑),抗てんかん薬1日当りの投与の量の関連も推定された. 続きを見る
4.

論文

論文
兼子, 直 ; 大谷, 浩一 ; 平野, 敬之 ; 近藤, 毅 ; 福島, 裕 ; 野村, 雪光 ; 小川, 克弘
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  19  pp.306-311,  1988-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4201
概要: 抗てんかん薬(抗て薬)の奇形発現の機序を解明する目的で,正常妊婦73例(C群),服薬てんかん妊婦48例(E群)を対象に血清中葉酸濃度を測定した.妊娠全期間を通してE群の葉酸濃度はC群より低値であった.E群を奇形児出産の有無により奇形群(n= 7)と正常群(n=41)に分け葉酸値を比較すると妊娠前期でのみ奇形群は正常群より有意に低い葉酸濃度を示したが,妊娠期間中は両群間に有意差はなかった.抗て薬総投与量(DS)は奇形群で正常群より高値であった.妊娠時期別に両群のDSを比較すると,妊娠一期では奇形群で高い傾向を有し,二期,三期では有意に奇形群で高値であった. DSは奇形群の妊娠一期および三期では葉酸濃度と負の相関を示した.これらの結果から,抗て薬により誘発された低葉酸濃度が抗て薬による奇形発現に何等かの関連を有することは否定出来ないものの,決定的要因ではないと考えられた. 続きを見る
5.

論文

論文
岡田, 元宏 ; 朱, 剛 ; 吉田, 淑子 ; 金井, 数明 ; 兼子, 直
出版情報: 精神薬療研究年報.  35  pp.74-87,  2003-03.  先進医薬研究振興財団
URL: http://hdl.handle.net/10129/4210
概要: Entorhinal-cortex(EC)から海馬への神経伝達機構(ECH)を高速蛍光CCDカメラを用いた興奮伝播二次元解析法とグルタミン酸・GABAの開口分泌機構をマルチプローブダイアリーシスを用いて検討した.腹側海馬CA1領域の錐体細胞 層は,EC第Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ層からのグルタミン酸性興奮性入力を受けていたが,EC第Ⅱ・Ⅲ層からの入力が主要入力であり,EC第Ⅳ層からの入力はEC第Ⅱ+Ⅲ層からの興奮性入力を補助的に増強した.このECから海馬への入力は,一部GABAによる抑制性制御を受け,EC第Ⅱ・Ⅲ層よりもEC第Ⅳ層からの入力がより強力な抑制性制御を受けていた.ECH各領域のグルタミン酸遊離はPKAによる制御を受け,逆にGABA遊離はPKC優位の自発性遊離機構とPKA優位の脱分極性遊離機構による二系統の制御機構を有していた.以上よりECから腹側海馬CA1領域への投射経路は,グルタミン酸作動性伝達が主要機構であったが,これは直接,錐体細胞へ投射する経路と,GABA性介在神経へ投射し間接的に抑制性制御を発動する経路が存在することが示唆された. 続きを見る