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青森県における農産物直売所と小規模アグリビジネスの可能性をめぐる研究への視角

フォーマット:
論文
責任表示:
杉山, 祐子
言語:
日本語
出版情報:
弘前大学大学院地域社会研究科, 2015-03-18
著者名:
杉山, 祐子  
掲載情報:
弘前大学大学院地域社会研究科年報
ISSN:
1349-8282  CiNii Research  Webcat Plus  JAIRO
通号:
11
開始ページ:
95
終了ページ:
103
バージョン:
publisher
概要:
大都市圏と地理的に隔たっているにもかかわらず、津軽地域の農村は比較的早い時期から現金経済に巻き込まれていた。明治期には出稼ぎとよばれる労働移動の形態が一般化し、第二次世界大戦後の高度経済成長期になると、大都市部への出稼ぎによって得た多額の現金が機械化を含む急速な農業の近代化と生活の大きな変化をもたらした。しかし同時に、地域コミュニティにおける小規模で対面的な関係に依拠した共同性は再生産されつづけ、地域の暮らしを形作ってきた。この地域では国やグローバルレベルの社会経済システムに 、地域レベルの共同性を保った生活システムが接合した、いわば「二重システム」が、地域の生計戦略の中心になってきたといえる。1990年代以降、青森県でも多くの農産物直売所が作られ、農村部の人びとがいわゆる規格外の生産物や加工品などを直接販売するルートが確保された。これらの直売所では、いずれも商品の多様性と季節性の高さがきわだっている。また、それらが地域の環境や食文化を色濃く反映していることも指摘できる。農産物直売所は2 つの異なる機能をはたしている。ひとつは、地域外に販売するための生産物(地場産品)を開発すること、いまひとつは、地域の人びとの日常生活に必要な品物を提供すること、である。これが直売所の品揃えの多様性につながっている。熱心に「勉強」し、域外の人びとにアピールする新しい作物の試作をしたり、共同で加工品を工夫したりする生産者がある一方、少量ではあっても、季節ごとの地域の食生活に欠かせない農作物を売る生産者もある。直売所は現金を得る場としてだけでなく、出会いの場となり、「勉強」や「工夫」、「楽しみ」を生み出す場ともなる。これらがあいまって、農産物直売所の商品にみられるような多様性や新たなローカリティ生成の揺籃となる。それは、今後の地域のありようを検討するときに重要な可能性を示している。 続きを見る
URL:
http://hdl.handle.net/10129/5541
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