1.

論文

論文
菅野, 幸宏
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.209-220,  2002-03-28.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/451
概要: 本論では,幼児期の学習(早期教育即ち知的に偏った早期学習の隆盛,早期教育的雰囲気の蔓延)という問題を介在させながら,幼児の遊び(遊びの機会の減少,屋内での孤立型の遊びの隆盛,遊びの情報化(疑似体験化,虚構化)と親の在り方(遊べない親・遊ばせ ない親)との関連を問題にし,幼児教育の置かれている現状をとらえようとした。そのために弘前市内の2幼稚園に通う園児たちの養育者に対して質問紙調査を行った。結果として,遊ばない父親が多いこと,習い事は首都圏ほど盛んとは言えないこと,親の「高度学習」と「要学習塾」という考え方(本文参照)が子の習い事と関連すること,親の「自由遊び」という考え方が子の屋外遊び,自然にふれる遊びと関連することなどが見出された。 続きを見る
2.

論文

論文
菅野, 幸宏
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.147-157,  2003-03-31.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/452
概要: 集団によるふり遊び・ごっこ遊びの社会的発達面における意義を検討するため,家庭において観察した4歳児3名の遊びを分析した。観察された遊びは一見して再現的模倣的であったが,実は創造的即興的な性格も十分盛り込まれたものであった。これまで,遊びの創 造的即興的側面は見逃されてきており,したがってその発達的意義の検討も乏しい。そのため,創造的即興的遊びの社会的発達に関わる意義としては,会話における即興技能の促進が考えられるものの,その詳細は今後を待たなければならない。 続きを見る
3.

論文

論文
増田, 貴人
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.67-73,  2007-10-01.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/249
概要:  発達性協調運動障害が疑われる幼児(DCD 幼児)は、その予後の深刻さから、幼児期からの検討が重要視されてきている一方、DCD 幼児に関する日本の資料は乏しい。本研究はDCD 幼児における描線動作のスキルの特徴を明らかにする予備的検討として 、描線動作に関連するアセスメントの下位検査を分析した。 その結果、DCD 幼児群の描線動作には有意な不正確さが認められた。さらにMasuda & Nanakida(2003)に基づきDCD 幼児群を下位集団に分けたところ、微細運動困難が優位なDCD 幼児の描線動作は、統制群と比べ著しく低い成績を示したが、粗大運動困難が優位なDCD 幼児では統制群との差が認められなかった。アセスメント時に観察された描線動作の特徴を検討したところ、DCD 幼児は用紙から目をそらす、力が加減できないなど質的にも統制群と異なる傾向が推測された。また注意集中困難の傾向は、微細運動困難が優位なDCD 幼児にのみ観察されていた。 続きを見る
4.

論文

論文
増田, 貴人
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.49-56,  2008-10-06.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/789
概要: 発達性協調運動障害(DCD)は、その予後の深刻さから、幼児期からの検討が重要視されてきている一方、幼児期におけるDCD に関する日本の資料は乏しい。特に保育者の日常における気づきを情報として収集しスクリーニングに活用できる質的評価法について は、今後の検討の必要性が高いと考えられる。そこで本研究は、幼児期におけるDCD の質的評価法として、Movement Assessment Battery for Children を構成する一部である「MABC チェックリスト」と近年先行研究で用いられるようになった「DCDQ(Developmental Coordination Disorder Questionaire)」について概観し、それぞれ日本の幼児における適用可能性を試行的に検討した。 MABC チェックリストは、運動パフォーマンスを評価する4つのセクションと、DCD の二次障害として考えられるセクションとで構成されており、またDCDQ は日常生活動作をイメージしやすい15項目で構成されている。それぞれその信頼性が確認され、妥当性についても、DCD が疑われる幼児について高確率で判別できる可能性があり、またそれが疑われない幼児における誤判別の可能性も低いと考えられた。しかしMABC チェックリストはその項目数の多さから簡便性には難があり、単独での使用が難しいことが推測された。 続きを見る
5.

論文

論文
伴, 碧 ; 菅野, 幸宏
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  pp.77-84,  2010-10-20.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/4184
概要: 本研究は,現在注目されている,幼児が心的表象と行為との関係を真に理解した上でふりをはじめるのはいつかという議論に,日本ではまだ数の非常に少ないふりの実験課題を用いることで,ふりの心的表象について新たな見解を加えることを目的とした。課題にはバ ブル課題(Lillard, 1998)を用い,一般に誤信念課題を通過するようになる4歳児と5歳児の,ふりの心的表象と行為との理解を獲得する時期について検討を行った。結果,4歳児では80.56%,5歳児では81.08%が課題を通過し,4歳児でさえも80%が課題に通過することができたことから,4歳の時点で,幼児は心的表象と行為との関連を理解していることが示唆された。 続きを見る
6.

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論文
宮本, 香織
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  123  pp.95-106,  2020-03-31.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/00007007
概要:  ピアノ学習の導入期において、学習者が幼児の場合には特に、集中力の続く短い時間の中で、何をどのような段階で身に付けさせるかよく思案しなければならない。教本は主に「楽譜を読む」学習と「鍵盤を弾く」学習を中心に構成されている。そのため、「身体の 使い方」の指導は後回しになることが多くある。しかし、後回しにすることで手や手首に悪い癖が付いてしまい、結果として故障などの弊害を生み、音楽表現の妨げともなる。 学習者に多く見られる悪い癖を示し、代表的な教本ではその癖が付かないよう、どのような指示表記をしているのかをまとめた。多くの教本では、直接的な言葉や写真、イラストでの指示であったが、2018年に出版された『はじめてのピアノ・アドヴェンチャー』では、多くの“連想言葉”“連想イラスト”により示していることがわかった。また、教本内での「わざ言語」を生み出し、繰り返し用いていることも明らかとなった。 続きを見る
7.

論文

論文
増田, 貴人
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  123  pp.159-164,  2020-03-31.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/00007013
概要:  発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder : DCD)のある子どもは、どのような動作を描くのか明らかにするために、本研究では、コンピュータ上で動く療育アプリケーション(以下Timocco)を 使用し、その実践から観察される成績、手の軌跡、そして実践の動画記録の分割画像を資料として分析した。その結果、DCD児群は統制群に比べ、各課題の正答率において有意な差が見られ、全体的に不正確な動きが確認された。手の軌跡の分析においても、DCD児群では広範囲で横移動や縦移動を繰り返しており、一定の場所に安定しない正中線交差を描く非効率的な動きとなっていた。このDCD児群の非効率さは、遂行手が常に肘関節が伸展し非遂行手は構えができていないままの制限がかかる姿勢によることが動画の分割画像からも確認された。DCDの背景には運動実行後のフィードバックに困難があることが示唆され、なかでも内部モデル障害に伴って、視覚座標系で捉えられた画面情報を、自分自身に置き換えた垂直方向の運動座標系へと転換できなかったため、第三者的視点で処理する水平方向に心的回転が機能した可能性が考えられた。 続きを見る
8.

論文

論文
益川, 満治 ; 杉本, 和那美 ; 野嵜, 茉莉 ; 松山, 祐子
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  124  pp.63-69,  2020-10-30.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/00007184
概要:  本研究では,附属幼稚園児の運動能力を検討し現状を把握することであった.その結果,全国平均値に比べ概ね低い値を示し,女児より男児の数値が高かった.また,過去3年間の年長児の28.2%が,発達が標準より少し遅れている及びかなり遅れている現状が あきらかとなった.しかし,数値のバラつきが見られたことからも,個人の特性や行動観察を十分に行う必要がある.また,本研究の結果から,遊びを通した多様な動きの習得や運動能力の向上,そして園児一人一人の内的動機づけを高めることを意図した介入方法の検討が急務である. 続きを見る
9.

論文

論文
益川, 満治 ; 杉本, 和那美 ; 本吉, 好 ; 渡邉, 陵由 ; 野嵜, 茉莉 ; 松山, 祐子
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  125  pp.121-125,  2021-03-31.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/00007337
概要:  幼児における形態及び運動能力について,弘前地区と八戸地区の2つの地区から検討することで,寒冷地区及び多雪地域の幼児のこれからの身体活動の向上を見据えた資料とすることを目的とした. その結果,男子の4歳後半の「身長」,「25m走」,5歳前半 の「立ち幅跳び」,6歳前半の「両足連続跳び越し」,女子の5歳後半の「立ち幅跳び」において2つの地区に有意な関係が認められた.また,弘前地区で5.7%,八戸地区で9.5%,全体で8.3%が軽度肥満以上と判定された.全体の結果から,青森県の抱える問題が再認識され,今後の健康教育及び身体活動の向上及び運動の習慣化を見据えた検討の必要性が示唆された.  続きを見る
10.

論文

論文
杉本, 和那美
出版情報: 弘前大学教育学部紀要.  126  pp.109-115,  2021-10-25.  弘前大学教育学部
URL: http://hdl.handle.net/10129/00007572
概要:  本研究は,弘前大学教育学部附属幼稚園における幼児の走・跳・投能力を幼児運動能力検査による量的評価と動作発達得点による質的評価を用いて明らかにし,運動パターン観察表の記録をもとに今後の運動指導について検討することを目的とした.その結果,量的 評価では男児の立ち幅跳びを除く全ての項目で運動発達の遅れを示す者の割合が高かった.質的評価では立ち幅跳びとボール投げで標準的な発達を示し,25 m 走は発達が進んでいることが示されたが,総じて動作発達得点のばらつきが大きい傾向がみられた.運動パターン観察表による集計では,附属幼稚園であまり見られていない運動パターンは「捕る,受ける」を含む操作系の運動パターンであることから,多様な運動を取り入れながら,特にボールなどの操作系の運動パターンが生じる遊びや環境の工夫が必要であると考えられる. 続きを見る