1.

論文

論文
兼子, 直
出版情報: てんかん治療研究振興財団研究年報.  4  pp.24-35,  1992.  てんかん治療研究振興財団
URL: http://hdl.handle.net/10129/1905
概要: てんかん治療の進歩により,多くのてんかん者が結婚し,挙児を望むようになった。そこで,妊娠可能てんかん女性の治療基準設定のため,抗てんかん薬(AED)の催奇形性,服薬中に授乳可能か否か,妊娠中におけるてんかん発作頻度変化などの問題を中心に前方 視的に検討し,以下の結果を得た。AEDの服薬が規則的であれば80%以上の症例で妊娠中にてんかん発作頻度は変化しない。AEDは胎盤を通過し,母乳中にも排推される。奇形はAED多剤併用投与により増加し,催奇形性の強いAED,あるいは危険なAED併用パターンの存在が明らかになった。パルビツール剤,ベンゾジアゼピン服用中には出産後1週間は授乳を避けたほうがよいが,それ以外のAED服薬は授乳を妨げない。AEDにより,胎児の発達は遅れるが,生後3年頃までに回復し,服薬てんかん妊婦の子供でも,育児に配慮することにより,身体精神の発達に大きな問題は残らないことが明らかとなった。 続きを見る
2.

論文

論文
平野, 敬之 ; 兼子, 直 ; 藤岡, 邦子 ; 大谷, 浩一 ; 斎藤, 文男 ; 福島, 裕 ; 佐藤, 時治郎 ; 野村, 雪光 ; 品川, 信良
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  15  pp.282-291,  1984-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4199
概要: てんかん婦人より出生した児,45例(E群)の精神運動発達遅滞の要因を遠城寺式・乳幼児分析的発達検査を用いて検討した.対照群として非てんかん婦人より出生した児,55例(C群)を選んだ.全発達領野で,E群はC群より発達指数(DQ値)が低値であっ た.E群の年少群では,母親の服薬量と言語理解のDQ値との間に負の相関傾向が,生下時頭囲と発語のDQ値との間に正の相関が,それぞれに見られた.E群の年長郡では母親の学歴と児の発達に相関が見られた.15例の新生児脳波の検討結果では,抗てんかん薬による異常は認められなかった.てんかん男性を父親に持つ児のDQ値は,C群と比較して有意差はなかった.以上より,胎生期の抗てんかん薬曝露が児の精神身体発達に影響するのは,主に年少期(2才以下)と考えられた. 続きを見る
3.

論文

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兼子, 直 ; 近藤, 毅 ; 島田, 杉作 ; 大谷, 浩一 ; 平野, 敬之 ; 福島, 裕 ; 佐藤, 時治郎 ; 野村, 雪光 ; 品川, 信良 ; 寺西, 孝司 ; 後藤, 昌司
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  16  pp.325-334,  1985-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4200
概要: 服薬てんかん婦人の児に高頻度に認められる奇形発現の機序を解明すべく,1975年から1983年までprospectiveに十分な観察が可能であった児117例を対象に,奇形発現に関連が推定される各種要因を2重指数判別分析,カテゴリカル主成分分析 などを用い解析した. 妊娠第1期に服薬していた群の15.7%に,非服薬群の13.3%に奇形が認められ,対象例全体としての奇形発現率は15.4%であった.いわゆる大奇形は服薬群にのみ認められ,服薬群中の単剤治療例には奇形児出産はなく,多剤治療例の奇形発現率は18.0%であった. 要因間における関連性の解釈および各種解析結果から,奇形発現に重要な関連が考えられた要因は多剤併用,特にcarbamazepineとvalproic acidの併用,妊娠第1期における発作発来であったが,その他,部分発作(単純,複雑),抗てんかん薬1日当りの投与の量の関連も推定された. 続きを見る
4.

論文

論文
兼子, 直 ; 大谷, 浩一 ; 平野, 敬之 ; 近藤, 毅 ; 福島, 裕 ; 野村, 雪光 ; 小川, 克弘
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  19  pp.306-311,  1988-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4201
概要: 抗てんかん薬(抗て薬)の奇形発現の機序を解明する目的で,正常妊婦73例(C群),服薬てんかん妊婦48例(E群)を対象に血清中葉酸濃度を測定した.妊娠全期間を通してE群の葉酸濃度はC群より低値であった.E群を奇形児出産の有無により奇形群(n= 7)と正常群(n=41)に分け葉酸値を比較すると妊娠前期でのみ奇形群は正常群より有意に低い葉酸濃度を示したが,妊娠期間中は両群間に有意差はなかった.抗て薬総投与量(DS)は奇形群で正常群より高値であった.妊娠時期別に両群のDSを比較すると,妊娠一期では奇形群で高い傾向を有し,二期,三期では有意に奇形群で高値であった. DSは奇形群の妊娠一期および三期では葉酸濃度と負の相関を示した.これらの結果から,抗て薬により誘発された低葉酸濃度が抗て薬による奇形発現に何等かの関連を有することは否定出来ないものの,決定的要因ではないと考えられた. 続きを見る
5.

論文

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兼子, 直 ; 大谷, 浩一 ; 平野, 敬之 ; 近藤, 毅 ; 福島, 裕 ; 小川, 克弘 ; 中村, 幸夫 ; 齊藤, 良治 ; 管, るみ子 ; 熊代, 永 ; 武田, 明夫 ; 立木, 均 ; 鶴崎, 昌弘 ; 中根, 充文 ; 寺西, 孝司 ; 後藤, 昌司
出版情報: 精神薬療基金研究年報.  22  pp.88-94,  1991-03.  精神神経系薬物治療研究基金
URL: http://hdl.handle.net/10129/4202
概要: 抗てんかん薬(AED)による奇形発現防止のため,その発現に関連すると考えられる各種危険要因の相対的重要性およびAEDによる奇形防止の可能性を検討した.対象は従来からのAED療法を受けたてんかん妊婦とその児192例(A群)と妊娠前にAED投薬 量を少なくし,かつ可能な限り多剤併用から単剤投与へとdrug regimenを変更したてんかん妊婦とその児145例(B群)である.A,B両群の奇形発現率はそれぞれ13.5%,6.2%であり,両群間には有意差が認められた(p=0.031).妊婦の出産時年齢,てんかんの病因,てんかん発作型での頻度がA群,B群問で有意に異なっていた(p<0.05).またAED投与剤数がB群で有意に少なく(p=near O),1日当たりのAED総投与量(drug score)も有意に(p=0.042)少なかった.出産時年齢,てんかんの病因,てんかん発作型での各カテゴリーで奇形発現率を補正してもB群の奇形発現率は有意に低かったが,drug scoreまたはAED投与剤数で補正すると,A,B両群間の奇形発現率に有意差は認められなかった.以上の結果から,奇形発現が13.5%から6.2%へ減少した主な原因はAED関連要因に由来し,AED投与法の改善により奇形発現はかなり防止可能と考えられた. 続きを見る