1.

論文

論文
加藤, 博之 ; 大沢, 弘
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  5  pp.31-37,  2010-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/4757
概要: Problem Oriented System(POS)によってまとめられた診療録は、患者情報の集大成であると同時に、これを記載する若い医師や医学生にとっては、自らの思考過程を検証し、診断能力を高める重要な学習ツールでもある。本学医学部医学 科では平成16年度より、4年次末に行われる臨床入門科目「Pre BSL」の中で、POS診療録を用いた診断の思考過程教育を試みている。本教育では、まず患者の臨床情報をData Baseとして医学生に与え、その中から異常所見を抽出し、さらに異常所見同士の因果関係、即ち病態生理を「病態流れ図」の形で表現する。この過程を通じ、医学生は自分に足りない知識や、知識を使うことのおもしろさ、さらには少人数グループによる討議を通じた効果的学習法などについて、多くの気づきが得られていた。本教育は臨床実習開始前の格好の準備教育になっているものと思われる。 続きを見る
2.

論文

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加藤, 博之 ; 松谷, 秀哉 ; 大沢, 弘
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  6  pp.31-39,  2011-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/4776
概要: コミュニケーション能力は医師が有すべきプロフェッショナリズムを支える重要な要素である。今回、コミュニケーション教育の一環として、医学部医学科1年生が模擬患者と対話する実習を行なった。具体的には、まずコミュニケーションの基本を講義した後、学生 が模擬患者に対し「自分はこんな医師になりたい」をテーマに5分間話をした。自分の思いを上手に伝えるためには、話したい内容を要領よくまとめるだけではなく、挨拶や自己紹介、話す速さ、声の大きさ、言葉づかい、表情やしぐさなど、あらゆる要素を動員することが求められるが、初対面の人の前で、これらを上手に行なうことは意外に難しいことを、学生たちは実感していた。更に、実際の医療現場では、初診の患者は診察室で医師と相対したときに、同様の思いを抱いていることを想像できていた者もいた。人間を相手にする医師という仕事には、コミュニケーション能力の習得が欠かせないが、本実習がその良きスタートとなったことが示唆された。 続きを見る
3.

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加藤, 博之 ; 廣田, 和美 ; 松谷, 秀哉 ; 大沢, 弘
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  7  pp.37-44,  2012-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/4791
概要: 平成22年度から始まった医学部医学科2年次の新カリキュラム「地域医療入門」の授業と、その一環として行われたワークショップ授業について報告をする。「地域医療入門」は、本学学生に本県の地域医療についての理解を深めることを目的として開講された。県 内各地の大小さまざまの診療機関から地域医療に従事している医師を講師として招き、前期毎週火曜日に講義を行って、本県の地域医療の実情、課題、やりがい、そこで行なわれている研修や教育などを紹介している。さらに12回の講義ののち、ワークショップ形式の授業を行なって本科目のまとめを行なっている。ワークショップでは、学生を8~9名ずつ13の小グループに分け、「私の考える地域医療のやりがいと課題」をテーマとして、KJ法を用いてアイデアを出し合い、討論を通じてプロダクトを作成し、全員の前で発表した。学生たちの意見は、地域医療には大きなやりがいあり、実際に各医療機関の医師たちは情熱をもって取り組んでいる反面、解決すべき問題も多く、それらの調和をいかに取るかが課題であるとのまとめが多かった。医学部低学年のうちから、地域医療に対する関心を育て、かつ地域医療を多面的に、柔軟に、肯定的に捉えるよう教育し、さらに高学年での地域医療実習につなげていくことにより、積極的、能動的に地域医療に取り組む姿勢を医学生に涵養してゆくことが、地域医療の将来にとって重要であると思われる。 続きを見る
4.

論文

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加藤, 博之 ; 松谷, 秀哉 ; 大沢, 弘 ; 若林, 孝一 ; 藤, 哲 ; 中路, 重之
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  8  pp.31-37,  2013-03-30.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/4892
概要: 【背景と目的】医学生にとって臨床実習は、初めて医療チームの一員として白衣をまとって病院内で活動する生涯忘れ得ない期間であり、そのスタートにあたっては身の引き締まる思いをするのが常である。本学では平成17年度より、このような機会を捉え「SD 章(Student Doctor 章)」授与式を行い、プロフェッショナリズムの涵養を試みているので報告する。【対象と方法】CBT とOSCE に合格し、臨床実習を開始することを許された5 年次学生に対し、実習初日にSD章授与式を行った。講堂に一堂に会した5 年生に対し、医学部長、学務委員長、附属病院長の訓示の後、附属病院長がSD章を5 年生代表の胸に付け授与した。SD章は院内で働くスタッフと同様の顔写真入りのネームプレートである。引き続きSD 章を授与された学生の代表が「弘前大学医学部臨床実習生の誓い」を読み上げた。式には教員、コメディカル・スタッフ代表、模擬患者、研修医も出席し、また報道機関による取材も行われた。式後学生にアンケートを行い授与されたときの気持ちを記載してもらった。【結果】学生の感想は臨床実習への前向きの決意、自覚、期待を述べたものが多かったが、期待と不安が交錯する思いを述べているものも少なくなく、未知の世界に足を踏み入れる学生たちの率直な気持ちが表れていた。【結論】臨床実習生が周囲から公認されたSD章を付けることは本人の自覚を促し、医師のプロフェッショナリズムの涵養に寄与するものと思われた。 続きを見る
5.

論文

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加藤, 博之 ; 松谷, 秀哉 ; 大沢, 弘 ; 中根, 明夫
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  9  pp.27-33,  2014-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/5183
概要: 【背景と目的】医学部医学科1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、医師のプロフェッショナリズムを意識させながら、能動的な学習姿勢を涵養する教育方法は、未だ確立されたものがない。本学では1 年次に「臨床医学入門」の授業を行なって、 この問題への対応に努めているが、その一環として行われたワークショップ授業と教育効果について報告する。【対象と方法】1 年生を対象とし、平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」の一環として6 月にワークショップを実施した。学生を小グループに分け、まず附属病院内の七夕飾りとして、患者・家族が願い事を書いた短冊を見せた。その後「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとして、KJ 法を用いてプロダクトを作成し、全員の前で発表した。更に自由記載形式のアンケートで、ワークショップの感想を記載してもらった。【結果】プロダクトにまとめられた学生たちの意見は、患者・家族の願いは想像以上に多様であり、また医師や医療に対する期待は大きく、切実な思いを痛感したとするものが多かった。アンケートでは、患者・家族の期待に応えるための努力の必要性、高い目的を持ち真剣に学ぼうとしている仲間への尊敬、グループワーク自体が将来のチーム医療の練習であるなど、医師を目指す上での認識を新たにしているものが多かった。【結論】1 年生に患者・家族の医療に対する思いを情報として伝え、かつ同級生同士討論することは、医師の社会的役割を改めて認識させると同時に、学習に対する有力な動機付けとなりうる 続きを見る
6.

論文

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加藤, 博之 ; 松谷, 秀哉 ; 袴田, 健一 ; 小林, 只 ; 大沢, 弘
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  10  pp.23-30,  2015-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/5521
概要: 本学医学部医学科で平成16年度より4 年次末に行っているPOS(Problem Oriented System)診療録記載演習を、52週間の臨床実習を終えた6 年次学生に改めて行い、その教育的意義を検討した。演習では4 年次と同様に、まず患 者の臨床情報をData Baseとして学生に与え、その中から異常所見を抽出し、さらに考察した病態を「病態流れ図」の形で表現し、Problem List、Initial Plan を作成した。学生たちは臨床実習中の経験を踏まえて非常に熱心に課題に取り組み、作成されたプロダクトは具体的かつ完成度の高いものであった。終了後のアンケートでも、臨床実習での体験が自信につながっており、病態を考察する際の視野が広がり、また治療面まで考えが及ぶようになったなどの記載が見られ、今回の演習は自らの成長を自覚できる良い機会となっていた。本演習を6 年次に行ない4 年次と比較することによって臨床実習の効果を確認できるとともに、今後の学習への動機付けともなると思われる。 続きを見る
7.

論文

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加藤, 博之 ; 松谷, 秀哉 ; 小林, 只 ; 大沢, 弘
出版情報: 21世紀教育フォーラム.  11  pp.31-37,  2016-03-31.  弘前大学21世紀教育センター
URL: http://hdl.handle.net/10129/5829
概要: 【背景と目的】医学部1 年生に対し、入学後のモチベーションの低下を防ぎ、能動的な学習姿勢を修得させ、さらに医師のプロフェッショナリズムを涵養する教育方法は、未だ確立されたものがあるとは言い難い。本学では1 年次に「臨床医学入門」の授業を通年 で行なって、この問題への対応に努めており、本稿では本科目の全体像について報告する。【対象と方法】1 年次学生を対象とし、平成21年度より開講している科目「臨床医学入門」は毎週水曜の午後行われる。教育方法は講義、実習、演習(ワークショップ)など多岐にわたる。授業内容としては、(1)「こんな医師になりたい」をテーマに作文を書き、同級生全員の前で自己紹介を兼ねて発表、(2)「患者さんの願いと医師が果たすべき役割」をテーマとしたワークショップ、(3)「弘前大学医学部の歩みとこれから」の講義、(4)アーリーエクスポージャー、(5)地域医療の最前線の医師による講義「現場の医療を知ろう」、(6)コミュニケーション実習「模擬患者さんと話してみよう」、(7)地元について知る講義「津軽学」、(8)まとめのワークショップ、などから成っている。これらの教育内容はいずれも、Intrapersonal professionalism、Interpersonalprofessionalism、Public professionalismの涵養に通じるものである。これらは医師になる者の基本であり、特に本学学生の約半数を占める地域枠入学者のPublic professionalismの修得は重視されている。【結論】プロフェッショナリズムの涵養に焦点を当てた初年次教育は、長期的な効果が期待できる。 続きを見る